「実際、困りごとってありますか?」
クラウドワークスの110円案件に応募して、なぜか5万円ほどの商品を売り込まれている最中、僕はそう聞き返しました。
相手は少し興味を示して、話を聞いてくれました。
仕事を探しに来た僕が、いつの間にか見込み客にされていた。そこから、今度は僕が相手の困りごとを聞き始めた。
何をしているんだろう。
ただ、ここが今回一番面白かったところです。
110円を稼ぎに行ったら、買う側になっていた
会社を作ったあと、僕はクラウドワークスで仕事にどんどん応募していました。
最初は実績も評価もありません。だから、110円の初心者向け案件にも応募しました。報酬より、まず評価を増やしたかったからです。
内容は簡単でした。動画を見て、感想を200文字ほどにまとめる。
ところが、作業後はGoogleフォームへ移動し、メールアドレスなどを入力。そのあと日程調整ツールから、カメラ付きのオンライン面談を予約する流れになっていました。
しかも、一度だけではありません。別のアカウントから来たスカウトでも、同じように動画、フォーム、面談へ誘導されました。
この時点で、まあ怪しい。
ただ、僕はたぶん何かを売られるだろうと思いながら、怖いもの見たさで面談を入れました。普通なら避けるところで、僕はちょっとワクワクしていたんです。
面談は50分を超えました。途中から始まったのは、仕事の説明ではなく、5万円ほどのサービスの案内。その先には、さらに別の講座も用意されていました。
110円を受け取るために来たはずが、5万円を払う側になっている。
完全に逆です。
売り込まれたので、逆に困りごとを聞いてみた
相手の話を聞きながら、仕組みはよくできていると思いました。
クラウドワークスで安い案件を出す。初心者や実績を増やしたい人を集める。動画、フォーム、個別面談と進め、そこで商品を案内する。
広告費として見れば、110円で見込み客と話す時間を作れる。Google広告やSNS広告とは違う、仕事募集を入口にした集客です。
ただ、クラウドワークスでこの方法をまねするのは違います。
2026年9月2日時点のクラウドワークス仕事依頼ガイドラインには、サービスを集客目的で使う依頼や、初心者向け勉強会などと称して商品購入や登録につなげる動画・セミナーを必要とする依頼などが禁止例として挙げられています。僕の案件が規約違反だったかを最終判断するのは運営ですが、経験した流れは、禁止例とかなり重なっていました。
集客の発想としては参考になりました。でも、クラウドワークスでやる方法ではありません。
そこで僕は、売り込まれている途中で聞きました。
「実際、困りごとってありますか?」
相手は興味を示し、こちらの話も聞いてくれました。具体的な商品や金額を出したわけでも、契約につながったわけでもありません。ただ、売り込まれていた僕が、逆に相手の困りごとを聞き始めたんです。
AIを見抜けると言った相手が、Codexの文章を褒めた
もう一つ、面白かったことがあります。
最初の課題は、動画の内容を200文字ほどにまとめるものでした。僕は動画の文字起こしをCodexに渡して、要約も文章作成も全部任せています。
僕自身は、動画をまともに見ていません。
ところが面談では、文章をかなり褒められました。その一方で、相手は「AIを使った文章は分かる」という趣旨の話もしていました。
全部、Codexなんだけどな。
いったい、どこに目がついているのか。
長文なら不自然さが出ることはあります。でも、元の情報を渡して、目的と文字数を決めて、200文字にまとめる程度なら楽勝の極みです。
AIを使ったかどうかより、何を渡して、どう確認したかのほうが、文章の出来にはずっと影響します。
探したら、同じ体験が30件以上出てきた
この体験をnoteに書いたあと、似た話を探してみました。
すると、出てくる。どんどん出てくる。
初心者向けの低単価案件。動画視聴。Googleフォーム。オンライン面談。そして、仕事ではなく商品を案内される。
簡単に30件以上の体験談が見つかりました。見つけた記事には全部コメントしました。同じような話が次々に出てきて、正直、ちょっとゾクゾクしました。
僕は、何かを売られると分かったうえで入りました。評価を増やす目的もあり、怖いもの見たさもあった。110円の案件自体は、納品から支払い、評価まで終わっています。
でも、みんながそうではありません。
本当に報酬がもらえる仕事だと思い、実績を作ろうとして参加した人もいました。仕事を探していたのに、気づけば買う側として扱われる。これは、気持ちのいい話ではありません。
僕は楽しんでしまったけれど、純粋に仕事を探している人に同じ楽しみ方を勧める気はないです。
案件は多い。でも、仕事なのか集客なのかは自分で見分ける
今のところ、クラウドワークスで「普通の仕事を取れた」と言える状態には、まだ届いていません。
一件、6,000円ほどの業務案件で連絡を取り合っています。ただ、まだ相手の返事を待っている段階。契約も仮払いも始まっていません。
僕が触った範囲では、ココナラのほうが変な外部誘導は少なく、ずっと健全に感じます。もちろん、これは僕個人の体験です。クラウドワークスには案件がたくさんある。その一方で、今回のような誘導にも複数回遭遇しました。
もし友人が「初心者歓迎の110円案件に応募しようと思う」と言ったら、今の僕はたぶんこう答えます。
「面白いからやってみて。オファーされるから。僕は逆に営業したけど」
ただし、これは最初から何が起きるか分かっている人向けです。
普通に仕事を探しているなら、外部フォームでメールアドレスを求められ、成果物より将来の収入や夢の話が長くなった時点で立ち止まったほうがいい。
仕事を受けるための面談なのか。商品を売るための面談なのか。
そこが分からないまま進む必要はありません。
僕は次に同じ流れへ誘われたら、たぶんまた聞きます。
「ところで、そちらの困りごとって何ですか?」




